
- 執筆者のご紹介
- ハワード・マークスから学ぶ投資哲学
- 1分で読めるエッセンス
- ハワード・マークスのプロフィール
- 市場には必ず「振り子(サイクル)」がある
- 二次的思考の重要性
- ハワード・マークスの投資哲学からの学び
- 暴落時にパニックにならないためのセルフチェックリスト
- マイペース投資のススメのご提案
- まとめ
派手なリターンを追い求めるよりも、負けないことで結果的に大きな資産を築いた賢者がいます。
今回ご紹介するのは、オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者であり、あのウォーレン・バフェットも「彼のメモ(顧客向けレター)は真っ先に読む」と公言する投資家ハワード・マークスです。
AI関連銘柄が市場を賑わせている今、彼が説投資哲学は私たちが着実に資産を増やすための大きな指針となります。
さぁ、ご一緒に、ハワード・マークスの投資哲学を学んでいきましょう。
執筆者のご紹介
- マイペース投資のススメ
- 投資の学びに役立つ情報を配信中
- ポイ活×クリプト資産形成の実証実験運用中
- 日本マーケティング協会マーケティングマスター
- 教員免許社会科中学校一種高校二種
- 社会教育主事
ハワード・マークスから学ぶ投資哲学

賢者は「今」を疑い、未来に備える。
ハワード・マークス
1分で読めるエッセンス
今回の記事のポイントを凝縮してご紹介します。
- 投資で最も大切なのは「予測」ではなく「現状把握」
ハワード・マークスは、次に何が起きるかを当てるよりも、今、市場が熱狂しているのか、絶望しているのか、現在地点を把握することの重要性を説いています。 - 市場の振り子(サイクル)を意識する
相場は常に行き過ぎます。
強気になりすぎた振り子は、必ず逆の弱気方向へと戻ります。
今の高騰が振り子の端にいないかよく考えましょう。 - 二次的思考で大衆の一歩先を行く
「みんなが買っているから買う」のは一次的思考です。
賢者は「みんなが買っているから、今は割高でリスクが高いのではないか?」と一段深く考えましょう。 - 負けないことが勝つことに直結する
リスクとは単なる値動きではなく、資産を永久に失うことです。
全力を出さず、常に暴落時に動ける余力(現金)を残しておくことが重要です。
ハワード・マークスのプロフィール
ハワード・マークス(Howard Marks)
オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者兼共同会長。
1946年、米国ニューヨーク生まれ。投資界のレジェンドとして知られ、あのウォーレン・バフェットが「彼のメモ(顧客向けの投資レター)がメールボックスに届いていたら、真っ先に読む」と公言するほどの深い洞察力を持つ人物です。
- 主な経歴
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール卒業後、シカゴ大学でMBAを取得。
シティバンク等を経て、1995年にオークツリーを設立しました。 - 専門分野
ハイイールド債(高利回り債)やディストレスト債(不振企業の債券)など、リスクが高いとされる分野で「リスクを抑えながらリターンを得る」逆張りの投資手法を開発しました。 - 著書
『投資で一番大切な20の教え』『市場サイクルを極める』など。
彼の投資哲学は、プロから個人投資家まで幅広く「投資のバイブル」として愛読されています。
オークツリー・キャピタル・マネジメント
1995年にロサンゼルスで設立された、世界最大級のオルタナティブ投資(代替投資)運用会社です。
- 運用実績
世界中に拠点を持ち、数百億ドル単位の資産を運用。
米国の主要な年金基金や大学基金など、世界中の機関投資家から絶大な信頼を寄せられています。 - 特徴と強み
リスク・コントロールを一貫した哲学として掲げています。
市場が熱狂している時には慎重になり、逆にパニックに陥っている時には割安な資産を拾い上げる逆張り(コントラリアン)の姿勢を強みとしています。 - 日本との関わり
1998年には日本市場にも進出しており、不動産投資や企業投資など、多角的な運用を行っています。
市場には必ず「振り子(サイクル)」がある
ハワード・マークスの投資哲学の核にあるのは、市場の振り子という考え方です。
「投資の世界において、永続するトレンドは存在しない。ある方向に進みすぎた振り子は、必ず逆の方向へと戻ってくる。これがサイクルの正体だ。」
多くの投資家は、価格が上がっている時に「これからも上がり続ける」と信じ、価格が下がっている時に「もう終わりだ」と絶望します。
しかし、マークスは行き過ぎた強気も行き過ぎた弱気も、必ず修正されると説きます。
彼は、投資家が自問すべきは次に何が起きるか(予測)ではなく、今、自分たちはサイクルのどこに位置しているのか(現状把握)であると断言しています。
市場のサイクル(振り子)の深掘り:なぜ必ず「逆」に戻るのか?
市場が単調な右肩上がりではなく、振り子のように揺れ動く最大の理由は、人間の心理が極端から極端へ走るからです。
【その根拠とメカニズム:ポジティブフィードバックの限界】
- 上昇期
価格が上がると持っていないリスクを恐れる心理(FOMO)が働き、さらなる買いを呼びます。
この段階では、リスクは無視され、ポジティブな情報だけが拡散されます。 - 限界点
振り子が片側に振り切れるのは、最後の一人が買い終わった時です。
全員が強気になった時、それ以上買い支える資金が市場に残っていないため、わずかなネガティブニュースで振り子は逆回転を始めます。 - 下降期
下落が始まると、今度は資産を失う恐怖から投げ売りが連鎖します。
【具体的な事例:ドットコムバブルと近年のAIブーム】
- 2000年前後のドットコムバブル
インターネット関連なら何でも上がるという熱狂の振り子が限界まで振れた後、実態の伴わない企業から崩壊しました。 - 昨今のAI銘柄や仮想通貨
「AIが世界を変える」「ビットコインは20万ドルを超える」という期待が振り子を押し上げますが、マークスはここで「期待値が価格を上回っていないか」を問い直します。
振り子が端にある時ほど、戻る力(下落のエネルギー)は強くなるのです。
二次的思考の重要性
マークスが提唱するもう一つの重要な概念が二次的思考です。
- 一次的思考
好景気でビットコインが上がっている。
乗り遅れないように買おう。 - 二次的思考
みんなが強気で価格が上がっている。
しかし、期待値はすでに価格に反映されすぎていないか? リスクの方が大きくなっていないか?
周囲と同じことをしていては、市場平均を超えることはできません。
特にAI銘柄やビットコインやが高騰し、SNSが熱狂に包まれた時こそ、この一歩引いた視点が、致命的な高値掴みを防いでくれます。
二次的思考の深掘り:なぜ普通の考え方では勝てないのか
二次的思考が必要な根拠は、投資があくまでも相対的なゲームであるからです。
【その根拠と理由:市場の裏をかく】
市場価格には、すでにみんなが知っていること(一次的思考)が反映されています。
この企業は成長するという誰もが頷く理由は、すでに価格が高い原因の一つになっているのです。
- 一次的思考
直感的・単純:良い会社だから株を買おう。 - 二次的思考
多層的・批判的:良い会社だが、みんなが最高に良いと評価し過ぎて株価が高すぎる。
だから、今は売るべきではないか?
投資で平均以上の成果を出すには、周りとは違う、かつ正しい判断を行うことが重要なのです。
【具体的な事例:1990年代後半のドットコム・バブル】
-
一次的思考の投資家の行動
「インターネットは世界を変える革命的な技術だ。社名に『.com』がついている企業の株を買えば、どれも数倍になるはずだ!」と考え、ビジネスモデルが不明確な赤字企業であっても、期待感だけで最高値付近で買い向かいました。 -
二次的思考の投資家の行動
「インターネットが革命的であることは間違いない。しかし、すでに市場はそれを10年分以上も先取りした価格をつけているのではないか? 実態のない期待だけでPER(株価収益率)が異常値に達している。誰もがバラ色の未来しか語らなくなった今こそ、暴落の足音が近づいている」と考え、過熱した市場から静かに資金を引き揚げました。
結果として、二次的思考を持っていた投資家だけが、その後の冬の時代に資産を守り、次のサイクルで安く買うための余力を残すことができたのです。
ハワード・マークスの投資哲学からの学び
なぜ、予測は当たらないのか? ~ハワード・マークスが説く知ったかぶりの罠~
投資の世界には「来年の株価は〇〇円になる」「AIバブルはあと半年続く」といった予測が溢れています。
しかし、ハワード・マークスはこうした予測を信じることを危険な賭けだと断じます。
彼は、世界を自分が制御・予測できる場所だと考える傲慢さを捨て、「I don't know(私は知らない)」と認めることから真の投資が始まると説いています。
未来を当てることに必死になるよりも、どんな未来が来ても大丈夫なように準備することにエネルギーを注ぐべきなのです。
【予測する人 vs 準備する人の決定的な違い】
※横スクロールできます。
| 比較項目 | 予測に頼る投資家 | 準備する投資家 (ハワード・マークス流) |
| スタンス | 次に何が起きるかを当てよとする | 今、何が起きているかをよく診る |
| 思考回路 | 過去の傾向から未来を一本道で描こうとする | 未来には複数の可能性があると考える |
| ポートフォリオ | 特定の銘柄やセクターに集中投資 | どんな嵐が来ても沈まないよう分散する |
| 暴落時の反応 | 「想定外だ!」とパニックになる | 「サイクルの範疇だ」と淡々と動く |
※執筆者作成
賢者の視点
予測が外れた時に破滅するのは、予測が当たることに全財産を賭けているからです。
知らないことを認める謙虚さこそが、最大の防御になります。
現代の投資への応用:市場でどう振る舞うべきか?
今の市場をハワード・マークスの視点で見ると、どのように振る舞うべきかを考察してみましょう。
- 市場の現在地を客観視する
AI関連株やビットコインが最高値を更新し、SNSで億り人の話題が増えたら、振り子は強気の端に振れている可能性があります。
この時、焦って一括投資をするのではなく、「今はサイクルの後半かもしれない」と警戒心を持つことがリスク管理の第一歩です。 - リスクの定義を再確認する
マークスの説くリスクとは、ボラティリティ(値動きの激しさ)ではなく、資本を永久に失う可能性です。
高騰している銘柄に全力投球することは、このリスクを最大化させます。
自分の安全域を守った投資を徹底しましょう。 - 規律ある撤退と準備
強気相場の終盤では、利益を確定することも立派な戦略です。
次に振り子が弱気に戻ってきた時(暴落時)に、安く買うための準備をしておくという考え方です。
【実践編】ハワード・マークスの学びを活かしたジャンル別投資戦略
続いて、マークスの投資哲学を現代の主要な投資ジャンルに当てはめ、具体的にどのようなアクションを取るべきかを深掘りしてみましょう。
マークスの教えは、特に群集心理が働きやすい市場でその真価を発揮します。
- 新NISAのインデックス投資
新NISAで積立投資は絶対に安全という一次的思考が広がり、S&P500の暴落時にはパニック売りが大量に発生しました。
これは、投資家のリスク許容度の見誤りによる現象と言えるでしょう。
特に初心者は、投資成績が好調な時はリスクを取れますが、振り子が逆振れした瞬間の心理的ダメージを過小評価しがちです。
投資は生活資金と分けて運用することが大原則です。
投資額と同等、あるいはそれ以上の生活防衛資金を現金で持っておくことが重要であり、これがマークスの言う安全域(マージン・オブ・セーフティ)そのものなのです。
また、「明日、資産が30%減っても生活とメンタルに支障がないか?」をチェックし、過剰な額の入金設定を見直すことも重要です。 - AI関連銘柄
「AIは産業革命以来の変革だ」という一次的思考が支配すると、将来の成長がすべて現在の価格に織り込まれ、割高な状態(バブル)になりやすいです。
特に注意するポイントは「高値掴み」のリスクです。
どんなに良い銘柄でも、高値で買えばそれは悪い投資になります。
株価を正当化する根拠を考え、それが非現実的と感じたら、投資を保留する勇気を持つことが重要です。
また、既に保有している場合、特定の銘柄が上がりすぎていると感じたら、ポートフォリオのリバランスを検討することも資産を守ることに繋がります。 - 仮想通貨
仮想通貨は「振り子」の振れ幅が極端に大きく、実体価値よりも期待や恐怖という心理的要因で価格が動きやすい特徴があります。
値動きが強気の時は新規購入を控える。
または、元本分だけを利益確定し、ノーリスクの状態で静観する。
逆に、値動きが下落し、誰もが「仮想通貨は終わった」と語る時期に、あらかじめ決めたルールに従って淡々と買い増しする。
このような原則に従って行動することが重要です。
仮想通貨投資で重要なのは学び。
そして、継続的な情報収集が特に必要であることは言うまでもありません。
※FOMO(フォーモ)
「Fear of Missing Out」の略で、自分だけが何か重要な情報やトレンド、楽しい体験を取り残されているのではないかという、不安や恐怖を感じる心理状態を指します。
SNSの普及により強まった現代特有の悩みで、他人の充実した生活を見て焦りを感じたり、投資で波に乗り遅れることを恐れたりする行動(FOMO買い)の要因となります。
賢者のアクション:常に「余力」を残しておく
マークスは、「優れた投資家とは、良い時期に平均より少し良い成績を収め、悪い時期に平均よりずっと軽い傷で済ませる人だ」と述べています。
どのジャンルにおいても共通するアクションは全力で勝負に行かないことです。
市場が熱狂しているなら、少しずつ利益を確定して、次の暴落で買うための現金を蓄える。
市場が冷え込んでいるなら、恐怖に負けず、蓄えた現金で静かに資産を拾う。
この振り子の動きに合わせた規律ある行動こそが、投資を成功させる最大の鍵となります。
暴落時にパニックにならないためのセルフチェックリスト
ハワード・マークスの投資哲学を、今のご自身の投資状況に当てはめてみましょう。
市場の振り子が逆方向に振れたとき、あなたは耐えられますか?
以下の3つの質問に答えてみましょう。
1. 現在の現金比率(キャッシュポジション)はどうですか?
- 質問
全財産を投資に回していませんか? - マークスの教え
暴落は恐怖ではなく、安く買うチャンスです。
しかし、手元に現金がなければ、ただ指をくわえて資産が減るのを見ているしかありません。
常に次のバーゲンセールのための余力を残すようにしましょう。
2. 周囲でFXや仮想通貨の話が自慢げに語られていませんか?
- 質問
あなたの周囲で、普段投資に興味がない人までFXや仮想通貨について話していませんか? - マークスの教え
これがいわゆる靴磨きの少年理論の現代版です。
SNSが儲け話であふれ、誰もがリスクを忘れたとき、振り子は最高到達点にいます。
周囲が熱狂しているときこそ、あなたは冷静な目を持つ必要があります。
3. 明日、資産が30%減ったら買い増しできますか?
- 質問
夜も眠れないぐらい「売らなきゃ」と思うようなら、それはリスクを取りすぎです。 - マークスの教え
負けないことが結果的に大きなリターンを生みます。
パニック売りをしてしまうのは、自分のリスク許容度を超えた投資をしている証拠。
今のうちに設定金額を見直すのも立派な戦略と言えるでしょう。
マイペース投資のススメのご提案
投資の世界で長く生き残り、着実に資産を築くためには、負けないための思考法が欠かせません。
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まとめ
賢者は「今」を疑い、未来に備える。
ハワード・マークスの教えは、私たちに慎重であることと謙虚であることの重要性を教えてくれます。
いつが買い時かを完璧に当てることは誰にもできません。
しかし、今はみんなが楽観的すぎるから、少し慎重になろうという判断は、サイクルの観察によって可能です。
新しいテクノロジーへの投資は夢がありますが、市場の振り子は必ず戻ってきます。
熱狂の渦中にいる時こそ、マークスの言葉に立ち返り、今、どこに立っているのかを冷静に見つめ直しましょう。
このブログは資産運用に役立つおすすめ情報をお届けしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
免責事項
本記事は「投資の学び」の情報提供を目的としています。
掲載内容に万全を期していますが、内容の完全性、信憑性を保証するものではありません。
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