
- 執筆者のご紹介
- ハワード・マークスから学ぶ投資哲学
- 1分で読めるエッセンス
- ハワード・マークスのプロフィール
- 世界が止まった時の逆張りの成功事例:2020年 コロナショック
- 「もう遅い」がチャンスに変わる科学的根拠
- 逆張り投資を習得するためのおすすめ習慣
- チャンスを見逃さないためのチェックリスト
- 失敗しないための投資銘柄選別術
- マイペース投資のススメのご提案
- まとめ
株価の最高値更新など、市場が熱狂に包まれると決まって聞こえてくる言葉があります。
「もう今からじゃ遅い」
「バブルだから手を出さないほうがいい」
しかし、投資のレジェンド、ハワード・マークスは異なる視点を持ちます。
「確信を持って『もう遅い』と誰もが口を揃える時こそ、最高の機会が眠っている」
今回は、マークスの「逆張り哲学」を軸に、なぜ大衆の諦めや恐怖が投資の成功に繋がるのか、その科学的根拠と実践方法をくわしく解説します。
ぜひ、最後までご覧ください。
執筆者のご紹介
- マイペース投資のススメ
- 投資の学びに役立つ情報を配信中
- ポイ活×クリプト資産形成の実証実験運用中
- 日本マーケティング協会マーケティングマスター
- 教員免許社会科中学校一種高校二種
- 社会教育主事
ハワード・マークスから学ぶ投資哲学

投資で成功するとは、
他人と違うことをし、
かつそれが正しいことだ。
ハワード・マークス
1分で読めるエッセンス
逆張り投資の本質は、むやみに人の反対を行くことではありません。
市場の心理が振り子のように極端に振れた瞬間を捉える技術です。
大衆が強欲に駆られている時は慎重に。
大衆が恐怖で動けなくなっている時(「もう遅い」と絶望している時)にこそ、リスクとリターンのバランスが劇的に改善します。
この感情の歪みを突くことが、市場平均を超える方法なのです。
ハワード・マークスのプロフィール
ハワード・マークス(Howard Marks)
オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者兼共同会長。
1946年、米国ニューヨーク生まれ。投資界のレジェンドとして知られ、あのウォーレン・バフェットが「彼のメモ(顧客向けの投資レター)がメールボックスに届いていたら、真っ先に読む」と公言するほどの深い洞察力を持つ人物です。
- 主な経歴
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール卒業後、シカゴ大学でMBAを取得。
シティバンク等を経て、1995年にオークツリーを設立しました。 - 専門分野
ハイイールド債(高利回り債)やディストレスト債(不振企業の債券)など、リスクが高いとされる分野で「リスクを抑えながらリターンを得る」逆張りの投資手法を開発しました。 - 著書
『投資で一番大切な20の教え』『市場サイクルを極める』など。
彼の投資哲学は、プロから個人投資家まで幅広く投資のバイブルとして愛読されています。
オークツリー・キャピタル・マネジメント
1995年にロサンゼルスで設立された、世界最大級のオルタナティブ投資(代替投資)運用会社です。
- 運用実績
世界中に拠点を持ち、数百億ドル単位の資産を運用。
米国の主要な年金基金や大学基金など、世界中の機関投資家から絶大な信頼を寄せられています。 - 特徴と強み
リスク・コントロールを一貫した哲学として掲げています。
市場が熱狂している時には慎重になり、逆にパニックに陥っている時には割安な資産を拾い上げる逆張り(コントラリアン)の姿勢を強みとしています。 - 日本との関わり
1998年には日本市場にも進出しており、不動産投資や企業投資など、多角的な運用を行っています。
オークツリー・キャピタル・マネジメントは、市場のパニック時に割安な資産を拾い上げる逆張りの姿勢を貫き、驚異的な実績を積み上げてきました。
世界が止まった時の逆張りの成功事例:2020年 コロナショック
2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済は文字通り停止しました。
株価は歴史的な速度で急落し、誰もが「リーマンショック以上の大恐慌が来る」「今は何をしても遅い、逃げるのが先決だ」とパニックに陥りました。
- 当時の状況
都市封鎖で経済が死ぬ。企業の倒産が連鎖し、株価の下落は底なしだ。今は現金以外のすべてがリスクでしかない。 - マークスの思考(逆張り思考)
確かに公衆衛生上の危機は深刻だ。
しかし、市場の価格はすでに経済の完全な崩壊を織り込むレベルまで叩き売られている。
政府と中央銀行がこれほどの大規模な救済策を打ち出している以上、資産価格がゼロになる確率は、現在の価格が示唆するほど高くはない。
マークス率いるオークツリー・キャピタル・マネジメントは、この混乱の最中に約150億ドル(当時のレートで約1.6兆円)もの巨額資金を投じ、割安になった社債やディストレスト債(経営不振企業の債券)を買い漁りました。
多くの投資家が「二番底が来るからまだ早い」「もう手遅れだ」と疑心暗鬼になっている間に、彼は「価格が価値を大きく下回っている」という統計的な歪みを分析して動いたのです。
結果、その後の急激なV字回復により、彼等は歴史的な利益を手にすることに成功しました。
「もう遅い」がチャンスに変わる科学的根拠
投資の世界で「もう遅い」という言葉が出る時、市場には総諦めか総楽観のどちらかが充満しています。
なぜそのタイミングが狙い目なのか、私たちの脳と統計の性質から考察します。
【脳科学の視点:脳が放つ思考停止のアラート】
私たちの脳の構造は1万年以上前の狩猟採集時代からアップデートされていません。
そのため、投資という現代的な活動に対して原始的な本能で反応しているのです。
- 損失回避性
人間は「1万円得する喜び」よりも「1万円損する痛み」を2倍以上強く感じるようにできています。
下落が続き、大衆が「もう遅い(手遅れだ)」と投げ出す時、脳内では生存を脅かされるほどの強い恐怖信号が出ています。
この時、脳の司令塔である前頭前野は、恐怖を司る扁桃体にハイジャックされ、合理的な判断ができなくなっています。 - 「もう遅い」は脳の防衛反応
「もう遅い」と口にする時、脳はこれ以上の精神的ダメージを避けるために「考えることをやめよう」という防衛スイッチを入れています。
弱気相場では 「これ以上損したくない」から売る。
強気相場では:「置いていかれたくない」から高値で飛びつく。
つまり、大衆が「もう遅い」と感情的になっている時こそ、価格が本来の価値から最も大きく乖離する脳のバグが発生しているのです。
【統計学の視点:振り子が描く逆転のシナリオ】
ハワード・マークスは、市場を一定の速度で進む列車ではなく、激しく揺れ動く振り子に例えて言います。
- 平均への回帰という絶対法則
統計学に「極端な数値が出た後は、必ず平均値に向かって戻っていく」という平均への回帰(Regression to the Mean)という法則があります。
振り子が右(楽観)や左(悲観)の最高点に達した瞬間、重力によって反対側へ戻ろうとするエネルギーは最大になります。 - 「もう遅い」の統計的意味
みんなが「もう遅い」と投げ出す瞬間は、統計的に言えば振り子が最も極端な位置(異常値)に到達したサインです。
そこから先はさらに悪くなる確率よりも平均に戻る(回復する)確率の方が圧倒的に高くなります。
【社会的証明バイアス:群れをなす本能】
人間には、周囲と同じ行動をとることで安心を得る社会的証明バイアスがあります。
「みんなが『遅い』と言っているから、自分もそう思う」というのは、かつて猛獣から逃げるために群れに従った生存戦略の名残です。
しかし、投資においては、群れと同じ行動=利益を分け合った後の残りカスを掴むことと同じことです。
科学的に考えれば、周囲との共感が断絶された瞬間こそが、統計的に最も有利なエントリーポイント(仕込み時)となるのです。
大衆の「もう遅い」は、分析の結果ではなく、脳がストレスに耐えきれなくなった悲鳴とも言えます。
その悲鳴が聞こえた時こそ、あなたは耳を塞ぐのではなく、隠れているチャンスを探るべきなのです。
逆張り投資を習得するためのおすすめ習慣
逆張り投資を習得するにはどうすればいいのか。
脳科学的なアプローチでメタ認知を高め、孤独に、かつ冷静に利益を積み上げるためのおすすめの習慣をご紹介します。
【逆説シナリオの言語化習慣:前頭前野のトレーニング】
脳には確証バイアスという、自分の信じたい情報だけを集める性質があります。
これを打破するには、意識的に脳のブレーキ(理性)を働かせる必要があります。
感情を司る扁桃体が「儲かりそう!」と興奮している時、論理を司る前頭前野を強制起動させることで衝動買いを防ぎます。
具体的なアクション
- ポジティブ時
「この株は10倍になる!」というニュースを見たら、あえて「もし明日、この技術の致命的な欠陥が見つかるとしたら何?」と自分に問い、最悪のシナリオを1つ書き出してみてください。 - ネガティブ時
「不況で終わりだ」というニュースを見たら、「この状況で、3年後に笑っている企業はどこか?」と検索してみましょう。
感情と反対の情報を探すだけで、脳の興奮状態(ドーパミン過剰)が鎮まり、冷静な判断が可能になります。
【市場の温度計の定点観測:メタ認知の確立】
投資で失敗する最大の原因は、自分の感情を市場の現実だと思い込んでしまうことです。
自分の外側にある客観的な指標を確認することで、メタ認知(自分を客観視する能力)を高めます。
心理学においても、自分の感情を客観的なデータと照らし合わせる作業は、パニックを抑えるラベリング効果があると言われています。
具体的なアクション
VIX指数(恐怖指数)のチェック
VIX指数(恐怖指数)とは「市場が今後30日間でどれだけ荒れるか」という不安の大きさを数値化したものです。
米国株の代表格「S&P500」のオプション取引を元に算出されます。
VIX指数は、株価と逆に動く性質があり、株が暴落する時、不安が高まるため急上昇します。
- 10〜20(平常時)
市場は穏やかですが、15を下回ると楽観(油断)が蔓延しているサインでもあります。 - 20〜30(警戒)
市場にざわつきが出ています。 - 30〜40(パニック)
明確な下落局面です。 - 40以上(極限状態)
歴史的な大暴落時(リーマンショックやコロナショック)に見られる数値です。
VIX指数(恐怖指数)をチェックする方法
- おすすめサイト
Cboe公式 VIXページ
Cboe Global Indices: VIX Index Dashboard
この指標を投資の天気予報として毎日眺める習慣をつけてみましょう。
雨(暴落)の日に、慌てて傘を持たずに外に飛び出すミスがなくなります。
Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)
こちらは、米CNN Businessが算出する指標で、投資家が今「怖がっているか(Fear)」、それとも「欲張っているか(Greed)」を、7つの異なる市場データ(上記のVIXも含まれます)を組み合わせて0〜100で示したものです。
投資家の感情をより多角的・直感的に表したものです。
- 0〜24(極度の恐怖)
大衆がパニック売りをしている状態。
マークス流の最高の買い場になりやすい領域である。 - 25〜44(恐怖)
弱気な空気が漂っている。 - 45〜55(中立)
迷いがある、または平穏。 - 56〜75(強欲)
買いが優勢で過熱し始めている。 - 76〜100(極度の強欲)
全員が強気でバブル的な高値掴みのリスクが高い領域である。
Fear & Greed Indexをチェックする方法
CNN Business公式サイト: 最も一般的で、メーター形式のビジュアルで一目で状況がわかります。
- おすすめサイト: CNN Fear & Greed Index
Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN
【定期的なデジタルデトックスによる思考の純化:同調圧力の遮断】
人間は、SNSで「みんなが売っている」という投稿を5回見るだけで、自分の正しい判断を捨てて集団に合わせてしまう性質(ソロモン・アッシュの同調実験)があります。
集団との意見の相違は、脳にとっては物理的な痛みと同じ部位(前帯状皮質)で処理されます。
つまり、SNSを見ながら逆張りをするのは、痛みに耐えながら歩くようなものです。
具体的なアクション
- 市場が荒れている時ほどSNSアプリを閉じましょう。
タイムラインは「恐怖の増幅器」でしかありません。 - スマホアプリを消し、ハワード・マークスの『投資で一番大切な20の教え』などの名著を読んでみましょう。
時代を超えて生き残った不変の原理に触れることで、短期的なノイズから脳を保護できます。
情報が足りないと不安になるかもしれませんが、逆張りに必要なのは新しい情報ではなく深い解釈なのです。
チャンスを見逃さないためのチェックリスト
「もう遅い」という声に惑わされず、真のチャンスを特定するためのチェックリストをご紹介します。
- センチメントの確認
普段投資の話をしない知人までもが「株は怖い、もうダメだ」と口にしていないか? - 織り込み済みの確認
現在の価格は最悪の事態(倒産や破綻)をすでに前提とした水準まで下がっていないか? - 生存確認
その企業(または市場)は、3年後も社会に必要とされているか? - 余力確認
周囲が資産を投げ出している時、自分は動けるだけのキャッシュ(余剰資金)を確保しているか? - 自己分析
自分の衝動は、SNSのタイムラインに影響されたものではないか?
失敗しないための投資銘柄選別術
「みんなが売っているから買う」という単純な行動だけでは、そのまま倒産に追い込まれる企業を掴んでしまう(バリュートラップ)リスクがあります。
ハワード・マークスが説く、逆張り投資を実践するための、真のチャンスを見極める3つのフィルターをご紹介します。
1. 一時的な不祥事か、構造的な欠陥か
業界全体の地盤沈下や、ビジネスモデル自体が陳腐化したことによる下落での逆張りは非常に危険です。
狙い目は、企業の稼ぐ力(ファンダメンタルズ)は変わっていないのに、一時的な不祥事や短期的な決算のミスで、過剰に売られているケースです。
市場の感情的な過剰反応こそが、逆張り投資家の利益の源泉となります。
2. 現金という名の生存能力を確認する
市場が「もう遅い」と絶望している時、企業が生き残るための唯一の武器はキャッシュです。
- 自己資本比率が高いか?
- 営業キャッシュフローがプラスか?
財務が健全な企業であれば、株価が本来の価値に収束するまで耐えることができます。倒産さえしなければ、時間は逆張り投資家の味方になります。
3. 落ちてくるナイフを素手で掴まない
ハワード・マークスも説く通り、無理に大底を当てる必要はありません。
下落の勢いが止まり、株価が横ばいから少し反転し始める安心感が出てきたタイミングでも、逆張りの恩恵は十分に受けられます。
底を確認してから動く勇気が、無謀なギャンブルとの境界線になります。
【逆張り投資のよくある質問】
Q:新NISAなどの積立投資でも「逆張り」は有効ですか?
A:積立投資(ドルコスト平均法)そのものが仕組み化された逆張りです。
価格が下がった時に自動的に多くの口数を買い付けるこの手法は、暴落時こそ効率が上がります。
暴落を見て積立を止めるのではなく、「安く買えている!」と喜べるマインドセットを持つ。
それこそが、マークス流の成功哲学を最も手軽に実践する方法です。
Q:初心者が逆張りを始める際の最初のステップは?
A:まずはインデックスファンドの下落時に、少額を追加購入することから始めましょう。
個別株は価値がゼロになるリスクがありますが、市場全体に投資するインデックスならそのリスクを極めて低く抑えられます。
相場が悪い時に買うと、後にどう報われるかという成功体験を、まずはリスクの低いところから積み上げてみましょう。
マイペース投資のススメのご提案
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まとめ
ハワード・マークスはこう語ります。
「群れの中にいては、決して並外れた結果は出せない」
「もう遅い」という言葉は、大衆が思考を放棄した証拠です。
賢者はそのノイズを背景音楽に変え、冷静に価格と価値の乖離を見つめます。
次に市場が絶望に包まれた時、あなたが静かに一歩を踏み出せることを願っています。
このブログは資産運用に役立つおすすめ情報をお届けしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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